雅歌 6

だれよりも美しい人よ。
あなたの愛する人はどこへ行ったのですか。
その方を捜してあげましょう。」

おとめ

あの方は、ご自分の庭園、香料の花壇へ行きました。
羊の群れを飼い、ゆりの花を集めるためです。
私は愛する方のもの、愛する方は私のもの。
あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。」

ソロモン王

愛する人よ。
あなたは眺めのよいティルツァ(サマリヤの東にある町)のように美しく、
エルサレムのように愛らしい。
あなたは私をとりこにした。
そんなに見つめないでくれ。
あなたの目に、吸い込まれてしまいそうだ。
あなたの顔にゆれる髪は、
ギルアデの山腹を跳びはねて降りて来る
やぎの群れのようだ。
歯は、体を洗い流したばかりの雌羊のように、
真っ白で、きれいな歯ならびだ。
髪の毛のかかる頬はなんともかわいらしい。
私には、王妃が六十人、そばめは八十人、
おとめたちは数知れずいる。
だが、あなたのような完全な女性は、
ただの一人もいない。
エルサレムの女たちは、あなたを見て歓声を上げた。
王妃やそばめたちでさえ、あなたをほめそやした。
10 『夜明けのように上ってきて、
月のようにおしとやかな、太陽のように明るい、
私たちを魅了してしまうこの方は、
いったいだれですか』と。」

おとめ

11 私はくるみ林と谷へ行ってみました。
春の訪れを知りたかったからです。
ぶどうの木が芽を吹いたか、
もう、ざくろの花が咲いたかを見に。
12 でも、いつしか生まれ故郷がたまらなく恋しくなり、
帰りたくなりました。」

エルサレムの娘たち

13 シュラムの娘さん、帰って来てください。
私たちのところへ戻って来てください。
もう一度、あなたの顔を見たいのです。」

おとめ

「どうして、ただのシュラムの女を、
そんなに見たいのですか。」

ソロモン王

「それは、あなたが見事な舞を見せるからだ。」

ソロモン王