5 1 いとしい花嫁よ。さあ私は、自分の庭園にやって来た。
私は没薬と香料を集め、
はちの巣からみつを取って食べ、
ぶどう酒とミルクを飲んでいる。」
エルサレムの娘たち
「愛する方たちよ、食べて飲んでください。
十分に飲んでください。」
おとめ
「 2 ある夜のことです。眠っているとき、
夢の中で愛する方の声が聞こえました。
あの方は、私の寝室のドアをたたいていました。
『いとしい人、私の恋人、私のかわいい鳩よ、
開けておくれ。
夜通し外にいたので、すっかり露にぬれてしまった。』
3 私は答えました。
『もう寝間着を着てしまったのに、
また着替えるのですか。
足も洗ったので汚したくありません。』
4 それでも、愛する方が
鍵を開けようとするのを見て気の毒になり、
5 私は跳び起きて、ドアを開けました。
かんぬきの取っ手を引いたとき、
私の手から香水が、指からかぐわしい没薬の液が
したたり落ちました。
6 ところが、せっかくお開けしたのに、
もうあの方の姿は見えません。
私は心臓の止まる思いでした。
どんなにあちこち捜しても、
あの方は見当たらないのです。
必死にお呼びしても返事はありません。
7 私は警備の人に見つかり、たたかれました。
城壁の見張りにはベールをはぎ取られました。
8 エルサレムの娘さん、どうか誓ってください。
私の愛する方を見かけたら、
私が恋の病をわずらっていると伝えてほしいのです。」
エルサレムの娘たち
「 9 女性の中で一番美しい人よ。
私たちにそれほどまでに頼み込む
だれよりもすてきな人とはどんなお方ですか。」
おとめ
「 10 私の愛する方は日焼けして魅力的で、
ほかのどの男の方よりすてきです。
11 頭は純金、
黒い髪はウェーブがかかっています。
12 目は流れのほとりにいる鳩のようで、
穏やかに輝き、深く澄んでいます。
13 頬はかぐわしい香料の花壇、
くちびるはゆりの花、息は没薬のようです。
14 腕はトパーズをはめ込んだ丸い金の棒。
体は宝石をちりばめた光沢のある象牙。
15 足は純金の台座にすえられた大理石のようで、
レバノン杉のようにたくましいのです。
あの方にまさる人はいません。
16 あの方のことばは、うっとりするほどです。
あの方のすべてがすてきなのです。
エルサレムの娘さん。
これが私の愛する方、私の恋人です。」
エルサレムの娘たち
「