伝道者の書 4

しいたげと労苦と冷酷さ

1次に私は、世界中で行われているしいたげと悲しみを見ました。しいたげられている人が涙を流しても、だれも手を貸そうとしません。一方で、しいたげる者たちはしっかりと手を組んでいます。 私は、死んだ人のほうが生きている人よりましだと思いました。 一番幸福なのは、生まれて来なかった人で、地上の悪を見たことのない人です。

次に私は、物事を成功させる原動力がねたみであることを知りました。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。

5-6 愚か者は、いっこうに働こうとせず、
餓死寸前のところをさまよう。
しかし結局は、
むなしいの一語に尽きるような労働を続けるより、
のんびりその日暮らしをするほうがましだ。

愚かしく思えることが、もう一つあります。 息子も兄弟もいない一人暮らしの人が、さらに金持ちになろうと目の色を変えている場合です。この人は、だれに全財産を残そうというのでしょう。全く割の合わない、憂うつな話です。

二人が手を組めば、一人の人の倍以上のことができます。結果から見れば、二人のほうがずっといいのです。 10 二人なら片方が倒れても、もう一方が起こせます。ところが、一人のときに倒れてしまうと、だれにも起こしてもらえず、何とも惨めです。

11 また、寒い夜、二人が一枚の毛布でもかぶって寝れば、お互いの体温で暖かくなります。しかし一人では、どうにも暖まることができません。 12 一人では、攻撃を受けると負けてしまいます。しかし二人なら、背中合わせになって戦うことができ、相手に勝つことができます。三人なら、なおいいのです。三つ撚りの糸は、めったなことでは切れないからです。

地位を得ることはむなしい

13 貧しくても賢い若者は、どんな忠告も受けつけない、年取った愚かな王よりましです。 14 そのような若者は、牢獄から出て立身出世することでしょう。それどころか、生まれが卑しくても、王にさえなれるかもしれません。 15 こんな若者なら、たとい王位を奪うことになっても、人々は喜んで協力するに違いありません。 16 こうして彼は、幾百万もの人の指導者となり、非常に有名になるかもしれません。ところが次の世代の人は、彼を追放してしまいます。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。