滅ぼされるニネベ
1ニネベよ。おまえはもうおしまいだ。
すでに敵の軍隊に囲まれている。
警鐘を鳴らせ。城壁に人を配置し、守りを固め、
全力を尽くして敵の侵入を見張れ。
2 神の民の地は、おまえの攻撃で人はいなくなり、
破壊された。
だが主は、彼らの誉れと力とを回復する。
3 兵士の盾は太陽の光を受け、真っ赤に輝く。
攻撃開始だ。深紅の軍服を見よ。
飛び跳ねる馬に引かれて、
ぴかぴかの戦車が並んで進んで来るのを見よ。
4 あなたの戦車は、たいまつのような光を放ちながら、
向こう見ずに通りを突っ走り、広場を走り抜ける。
5 王は役人たちを呼んで叫ぶ。
彼らはあわてふためいてつまずきながら、
守備を固めようと、城壁に向かって走る。
6 だが、もう遅い。水門は開かれた。
敵が入って来る。宮殿は大騒ぎだ。
7 ニネベの王妃は裸で通りに引き出され、
奴隷として引いて行かれる。
泣き悲しむ侍女たちもいっしょだ。
彼女たちが鳩のように泣く声と、
悲しんで胸を打つ音を聞け。
8 ニネベは水のもれる水槽のようだ。
兵士たちは町を見捨てて、こっそり逃げ出す。
呼び戻すことはできない。
「止まれ、止まれ」とニネベが叫んでも、
彼らは走り続ける。
9 銀を奪え。金を奪え。
財宝はいくらでもある。
山のような富もはぎ取られてしまう。
10 まもなく、この町は人っ子一人いない
散乱状態となる。
心は恐怖におののき、ひざは震え、
彼らはぼう然として青ざめる。
11 諸国の間でライオンのようにふるまい、
闘志と大胆さをみなぎらせていた町、
年老いて弱くなった者も、いたいけな子どもも
恐れることなく暮らしていた町、
あの偉大なニネベは今、どこにあるのか。
12 ニネベよ、かつての勇猛なライオンよ。
おまえは妻子に食べさせるために
多くの敵を押しつぶし、
町と家を分捕り物と奴隷でいっぱいにした。
13 しかし今、全能の主がおまえに立ち向かう。
武器は破壊され、
戦車は使われないままひっそりと放置される。
すぐれた若者も死んで横たわる。
もう、他国を征服して奴隷を連れて来ることもない。
再びこの地を支配できないのだ。