エレミヤ書 2

イスラエル、神を捨てる

1主は再び、私に語りました。

「さあ、エルサレムの町の通りへ行き、大声で次のように語りなさい。
ずっと昔、おまえがまだ若い花嫁だったころ、
わたしを喜ばせようとして
どんなに尽くしてくれたかを覚えている。
また、わたしを愛し、
草木の生えていない荒野にいる時でさえ、
わたしについて来てくれたことも覚えている。
そのころ、イスラエルはきよい民、
わたしの初子だった。
これに害を加える者はだれでも犯罪人とみなされ、
これに触れる者には大きな災いが降りかかった。
4-5 ああ、イスラエルよ。
おまえの先祖は、
どうしてわたしを置き去りにしたのか。
わたしに何か罪でもあったというのか。
わたしに背き、偶像を拝むなど、全く愚かなことだ。
彼らは、自分たちをエジプトから無事に連れ出し、
だれも足を踏み入れたことのない、
乾ききった死の地である荒野を導き通したのが、
主であるわたしであったことに、
目をふさいでいる。
わたしは彼らを、実り豊かな地に連れて入り、
大いに祝福した。
ところが、彼らはそこを罪と腐敗の地に変え、
わたしが与えた相続地を汚した。
祭司でさえ、主を軽んじ、
裁判官もわたしを無視した。
指導者たちはわたしに盾つき、
預言者はバアルを拝み、
意味のないことで時間をつぶした。
だがわたしは、
まだおまえたちのことをあきらめていない。
わたしに立ち返るようにと、根気強く、
何度でも説得する。
のちのちの子孫にも、同じようにする。
10-11 あなたがたの周囲に、
それがどんなものであれ、
昔からいた神々を新しい神々と取り替えた国が
あったかどうか、調べてみよ。
西にあるキプロスに使いを出し、
東にあるケダルの荒野に人を遣わし、
今までにこんなことを聞いたことがあるかどうか、
調べさせてみよ。
ところがわたしの民は、栄光に輝く神を捨て、
代わりに何の役にも立たない偶像を取り入れた。

12 天はこれを知って衝撃を受け、恐怖に身をすくめる。

13 わたしの民は悪事に悪事を重ねた。

いのちの水の泉であるわたしを捨て、
水をためることもできない、壊れた水ためを作った。
14 イスラエルは、どうして奴隷の国になり下がったのか。
どうして捕虜となり、遠い国へ連れて行かれたのか。
15 わたしには、
エルサレムに向かって進んで来る大軍が見える。
彼らは天まで届く大声を上げて
エルサレムを破壊し、焼き払い、
人の住めない荒れ地とする。
16 エルサレムへ攻め上ろうとする
エジプトの軍隊も見える。
メンピスとタフパヌヘスの町々から行軍し、
イスラエルの栄光と力を踏みにじろうとしている。
17 神であるわたしが、行くべき道を示したのに、
おまえが反抗したからだ。
18 おまえはエジプトやアッシリヤと手を組んで、
どんな得をしたのか。
19 おまえ自身の悪が、おまえを罰する。
神である主に刃向かい、神を捨てることが
どんなに悪いことであり、恐ろしいことであるかを、
身をもって知るようになる。」
こう天の軍勢の主は宣告します。
20 「おまえはとうの昔に、わたしのくびきを払いのけ、
わたしのきずなを断ち切った。
わたしの言うことを頑として聞こうとしない。
すべての丘の上、またすべての木の下で、
偶像に深々と頭を下げた。
21 こんなことが、ありえるだろうか。
どうして、こんなことになったのか。
おまえを植えた時、あれほど注意して、
最上の苗木を選んだのに、
どうしてこれほど堕落した悪い作物がなったのか。
22 石けんと灰汁をどんなにたくさん使っても、
おまえはきれいにならない。
どうしても洗い流せない罪の汚れが、
こびりついている。
それがいつも、わたしの目の前に見え隠れしている。」
こう神は言います。
23 「それでもなお、そんなはずはない、
偶像を拝んだ覚えなどない、と言いはるのか。
なぜ、そんなことが言えるのか。
試しに、この国のどの谷へでも行ってみよ。
必死に雄を探し求める雌のらくだよ、
おまえの犯した恐ろしい罪を直視せよ。
24 おまえは、くんくんと鼻を鳴らす、
さかりのついた野ろばそのものではないか。
だれが、おまえの欲情を抑えることができようか。
雄は、おまえを探す必要がない。
おまえのほうから飛んで来るのだから。
25 ほかの神々を追い回すのは、
いいかげんにやめたらどうだ。
けれどもおまえは言う。
『言ってもむだですよ。
私はこの他国人に恋をしてしまいました。
あとについて行きたいのです。』
26-27 イスラエルは、
捕まることだけを恥と考えているどろぼうのようだ。
王、指導者、祭司、それに預言者も、
みな同じだ。
彼らは木彫りの像を父と呼び、
石細工の偶像を母と呼ぶ。
ところが、いざ困ったことが起こると、
助けてくださいと、わたしに泣きつく。
28 自分たちが作った神々に呼ばわったらどうだ。
危険が近づいたら、彼らに助けてもらえばいい。
ユダの町の数ほど神々をかかえているのだから。
29 おまえたちはみな反逆者だ。
なぜわたしを主と呼ぶのか。
30 おまえたちの子らを懲らしめたが、むだだった。
彼らは、いっこうに従おうとしない。
おまえたち自身も、ライオンが獲物を殺すように、
わたしの預言者たちを殺した。
31 ああ、わたしの民よ、神のことばに耳を傾けよ。
わたしはイスラエルに、何か不正をしただろうか。
わたしは彼らにとって、
暗闇に覆われた地のようだったか。
それなのにどうして、わたしの民は
『やっと神から自由になれた。
もう二度とかかわり合いになりたくない』
と言うのか。
32 どうして、いとも簡単に
神を捨てることができるのか。
おとめは、自分の大切な宝石を忘れはしない。
どんな花嫁も、
結婚衣装を隠すような愚かなまねはしない。
ところがどうだ。
わたしの民は、最も貴重な宝であるわたしを、
長い間忘れたままでいる。
33 おまえたちは恋人を手に入れるためには、
なんと念入りで巧みな計画を立てることか。
そのやり方は、ベテランの売春婦でさえ、
学ぶところが多いくらいだ。
34 着ている物には、罪のない貧しい人の血がついている。
おまえたちは理由もなく、
平然と人殺しをやってのける。
35 しかも、そのあとは口をぬぐい、
『神を怒らせることなど、何もしていない。
神が腹を立てるわけがない』としらを切る。
『罪を犯していない』と、あくまでもしらを切るので、
わたしはおまえたちをきびしく罰する。
36 おまえたちは、ここかしこと飛び回り、
次々と同盟国を乗り換え、助けを求めて歩き回る。
だが、そんなことをしてもむだだ。
おまえたちの新しい友人、エジプトは、
かつてのアッシリヤのように、おまえたちを見捨てる。
37 わたしがおまえたちの頼りにしている者を退けるので、
おまえたちは両手で顔を覆い、
失望のあまりしゃがみ込んでしまう。
たとえ彼らの助けがあったにしても、
うまくいくはずはない。